新聞などで見かけて以前から気になっていた、酒井順子さんの『家族終了』を読んでみました。
大ファンという訳ではないけど酒井さんの本は一通り読んでおり、私より少し先の人生を歩いている先輩のようなつもりでいたのですが、この本でちょっと印象が変わりました。
家族終了 酒井順子著
両親と兄を亡くし『生育家族*1』が自分一人だけになってしまった著者が「家族って、終わるんだな…」という気持ちをストレートに綴っています。
生まれ育った家族を亡くすという重い内容ですら、それほど悲壮感を感じさせない軽妙な文章が、逆に軽薄で薄情に感じてしまうのは、私だけなのかなぁ。
著者のスタイルとはいえ、『家族の死』すらネタにするのは、ちょっと不謹慎な気がしました(;^ω^)
もしかしたら前書きの文章↓で引っかかってしまい、私が素直に読めなくなったせいかもしれません。
「家族をつくる」ということは、「楽しいことを諦める」ということでもあります。「もうちょっと、諦めたくないなぁ」などと思ってだらだらと踊り続けていたらあっという間に年をとっていき、気が付いたら五十代。…
独身時代は全て自分のために自由に使えた時間が、結婚すれば夫に、出産すれば子供に多少なりとも制限されるので、独身時代と同じペースで遊べなくなるのは当然なんだけど、それを「楽しいことを諦める」と書いてしまうのは、ちょっと違うんじゃない?
結婚すれば結婚したなりの楽しさがあり、子育てだって苦労はあるものの、それを上回る喜びや楽しさがあるんだけどなぁ。。。
それを無視して、結婚して子育てするのはつまんないことだと断言されると、結婚・子育てで家に入ってしまった私としては「なーんだ、結局結婚も子育てもしてないから、その楽しさが分からないのね~」と思うしかありません。
そうじゃなくて「そっちの人生の楽しみも(あるらしいと)知ってるけど、自分は選ばなかったよ」というスタンスで書いてほしかったなぁと思います。
なんだかしょっぱなで「未婚VS既婚(子持ち)」が宣言されてしまい、結局最後まで「酒井さんが結婚しなかった言い訳」をだらだら読まされた感じがします。
現在同居している男性がいるけれど籍を入れるつもりはなく「妻じゃないから相手の実家の事は関与しない」そうで、なんだか結婚の美味しいとこ取りしてるようで「ずるーい!」と思ってしまいました(^^;
結婚と事実婚って、結婚届を出すか出さないか…だけの違いのように思ってたけど、実際のところは『妻』と『内縁関係・同居人』では背負うモノが全然違うんですねぇ。
色々面倒も引き受けないといけないけど法的に守られるか、都合が悪くなったらいつでも同居を解消できる身軽さをとるかは、結局本人たち次第なのかもしれないけど、死ぬ直前までどっちが良かったかなんて分からないんだろうな。。。
*1:ひとが生まれた時に、所属している家族のことを指します。