節約やお金について書かれてた軽い読み物だと思ったら、著者の出自が普通の環境ではなかった影響からか、自分とは異なる感覚にビックリしたと同時に宗教(カルト)の不気味さを感じた本でした。
お金さま、いらっしゃい! 高田かや著
お金の概念がないカルト村で育った著者が、初めて一人暮らしをして自分で稼いだお金を自由に使う事の楽しさや難しさを綴っています。
(『カルト村』とは、ヤマギシ会という農業を主体とした社会主義理念の団体のようです。作者は19歳で家族と村を出たと書いています)
ほんわかしたイラストが読みやすく、親元を離れて初めての一人暮らしを始めた人の『お金の使い方の入門書』として読ませても良いかもしれません。
ただ、様々な場面で著者の反応や行動に違和感を感じました。
特殊な生育環境のせいだとは思いますが、一般人の感覚とは相当ズレている人だなという、何とも言えない気持ち悪さは最後まで拭えませんでした。
帯のキャッチコピーは明るくタイトルやイラストも和みますが、カルト村での幼少期はシャレにならないくらい厳しいものに感じられました。
「お金の概念がない=のどかな農村で物々交換」というと、アメリカのアーミッシュみたいな牧歌的なのんびりした生活かと思いきや、実態はガチガチの社会主義体制(すべての物は共有、子供は親と引き離されて共同生活、子供も労働を強いられた上自由になる金銭はナシ)だったようで、読んでいて現代日本でこんな世界が実在している事に衝撃を受けました。
(アーミッシュとは、近代文化を完全否定し中世の生活を現代でもしている宗教団体です。厳格な戒律がありますが、近年は観光地としても一部分は開かれているようです。昔、ハリソンフォード主演の映画で取り上げられましたね…)
こんな歪んだ幼少期を強いられたにもかかわらず、親や宗教を否定的に捉えていない著者、生まれつき前向きで善良な性格なのか宗教思想の影響なのか分からないけど、なんだかモヤモヤとした違和感を感じます。
また、あくまでさらっと描かれている親子関係や夫・その家族との関係(夫がローンを組んで二世帯住宅を建築、両親以外に独身の義弟2人も同居)も、なんだかすんなり受け入れがたい気がします(;'∀')
普通なら、こじれて当然の感じだけど、この人の感覚がズレてるから上手くいってるんだろうな。。。