ちょっと珍しい刑務所に勤務する栄養士さんが書かれた本を紹介します。
めざせ!ムショラン三ツ星 黒栁桂子著
刑務所で出される毎日の食事は、管理栄養士が指示のもとに受刑者たちが作っています。
著者は、刑務所に勤務して10年以上のベテラン栄養士。
予備知識なしで刑務所という特殊な環境に飛び込み、そこで出会った刑務官や受刑者たちとのエピソードを、ユーモアを交えた読みやすい文章でつづっています。
少しでも安く大量におやつを提供するために、原材料の粉から調合して作ったドーナツや、シャバの味としてカップラーメンを食べさせるために奮闘する様子などが面白おかしく描かれています。
罪を犯した受刑者であっても、美味しい食事を食べさせてあげたい!と、限られた予算の中で試行錯誤し、共に炊場(すいじょう)で汗を流して作業をする受刑者を一人の人間として、同僚や息子のように接する様子に、著者の人柄の温かさを感じます。
著者は、受刑者の出所後について知る事が出来ないため、この本を元受刑者に向けて手紙のつもりで書いたのだと、あとがきに書かれています。
刑務所モノといえば、昔テレビで見た『塀の中の懲りない面々』で、刑務官役の山城新伍が、暴れる受刑者を背負い投げしたシーンが今でも強烈に記憶に残っているのですが…誰か知らないかな~(;^ω^)
あの映画では「刑務所は怖いところ」ぐらいしか思わなかった(当時は小学生だったので)けれど、実際に中で働いている刑務官やその他のスタッフ、受刑者たちもまた一人の人間として喜怒哀楽があるのだと改めて知る事が出来ました。