たまたま図書館で見つけてタイトルが気になったので、借りたのですが…
単純で素朴な絵とは裏腹に、中身はかなり重い内容です。
逆に言うと、非常に辛い内容なのでこれくらい絵がシンプルでないと読者がしんどすぎたかもしれません。
母がしんどい 田房永子著
著者である田房さん自身の子供時代から、結婚で親と一定の距離を置けるようになった時期までを漫画にしています。
娘の遠足のお弁当にスープ(スープジャーではなく、ふつうのお弁当のおかずにスープを入れるという意味不明さ)を入れたり、些細なことでキレる母親が描かれています。
常識外れの天然なのかと思いきや、とんでもないモンスターでした。
子供を完全にコントロールしないと気が済まず、子供が思い通りの行動をとり服従するまで暴力をふるう人たちを、語彙の乏しい私は『怪物』としか例えられません。。。
父親も家族の一員としては存在しているものの、母親の異常な行動を止めもしない、完全に育児を放棄した傍観者でした。
父親は基本的に母親の味方なので、直接手を下しはしないものの、一緒になって子供を苦しめていますが、本人は虐待している自覚がないという、ある意味直接虐待している母親よりも父親はたちが悪いと思いました。
大人になり、苦労の末親元を離れることができた著者でしたが、離れてからも子供時代に受けた心の傷や親からの呪いに引きずられ苦しんでいる様子がリアルに描かれています。
『毒親』という言葉がメジャーになってどれ位たったでしょう。
この言葉を聞くようになって、親のする事は必ずしも正しいことではない…と気付くことができました。
私の両親は『毒親』ではなかったですが、決して『100点満点の親』ではありませんでした。
今思えば当時は手探りで親業をやっていたんだろうなぁと思います。
きっと私もレベルで言えば、同じか場合によってはそれ以下かもしれません(^^;
こどもの生育環境は、その後の人生の礎となる本当に大切なものなんだなと思います。
田房さんの母親の子供への過干渉とは行動的には正反対かもしれませんが、以前読んだ植本一子さんも根っこは同じような気がします。