『慢性疲労症候群』(Chronic Fatigue Syndrome)という難病があるという事を以前本で読んだことがあり、可愛らしい表紙の絵から軽い気持ちで借りてみました。。。
病名の「疲労」という言葉から、何となく健康な人よりも疲れやすいんだろうと軽くイメージされがちですが、疲労という言葉では表現しきれない程非常に重い厳しい病気です。
慢性疲労症候群とは、激しい倦怠感・脱力・全身の痛み、思考力の低下などにより日常生活が困難となり、重症化すると寝たきりになるという重い病気です。
症状がひどい時には、眠ることを許されず苦痛に耐え続ける事を強いられ、次第に起き上がる事や会話すらままならない状態に陥ってしまう…そんな過酷な病気なのです。
ある日突然、慢性疲労症候群になりました。 ゆらり著
著者であるゆらりさん自身が、この病気と闘いながら何年もかけて書かれた本です。
病気を発症する前は、人並み以上に元気で活発な頑張り屋だったというゆらりさん。
発症後思うように体が動かせなくなり、やりたかった事や当たり前のように出来ていた事が出来なくなる様子、体に鞭打ってでも日常生活を続けようとする様子は読んでいて本当につらいです。。。
漫画の登場人物は全員可愛らしい動物なので、ついユルい感じで読んでしまいそうになりますが、非常に過酷な闘病の様子が描かれています。
人間で描いてしまうと、リアルすぎて耐えられないから動物を擬人化したのかも…と思うほど壮絶な闘病体験記です。
いくら体の異常を訴えても、専門医にたどり着くまで治療すら受けられなかった辛い時期や、ようやく診断が下りても、完治できないと言われる厳しい現実に何度も心が折れそうになります。
読んでいる側も辛いのに、まだ年若い女性であるゆらりさん自身、どんな気持ちで日々を過ごしたのか想像すると、自分はここまで耐えられるだろうか?という気持ちになります。
ある日突然、慢性疲労症候群になりました。|ゆらり|本|Amazon
この病気を広く知ってほしい
この本を読んで初めて知ったのが、慢性疲労症候群(CFS)という病気は、遺伝的な要因などではなく、誰もが発症する可能性のある難病という事実。
程度の差はあるものの、耐えがたい猛烈な疲労や不眠で日常生活すらままならなくなるのに、外見的には普段と変わりなく見えるため、毎日非常に辛い思いをしている患者さんが多いということ。
周囲の人の何気ない一言に、ひどく傷つけられるという章では、励ましよりも共感してほしい、相手の理解しようと努力している態度に救われると書かれています。
この当事者への対応については、慢性疲労症候群の患者さんに限らず、何らかの事情で困難な生活を強いられている人の多くに当てはまるように思いました。
私自身まだまだ浅い理解ではありますが、この本を取り上げることで少しでも病気の認知に繋がればいいなと思い、書かせていただきました。